高尿酸血症(通風)とは?原因・症状・治療法を解説
高尿酸血症とは
高尿酸血症は血液中の尿酸が高い状態のことです。
2019年の国民栄養基礎調査では、高尿酸血症患者が1千万人に達したとのデータが報告されています。
女性ホルモンによって尿酸値がコントロールされるため、男性が圧倒的に多いです。
高尿酸血症は自覚症状が現れにくいですが、進行すると激痛を伴う痛風や尿路結石、腎障害を引き起こす原因となります。
肥満や脂質異常症、高血圧、糖尿病を複合的に合併することも多く、動脈硬化を進行させる可能性もあります。
自覚症状がないからといって放置せず、しっかり治療を受けることが大切です。
高尿酸血症の原因
尿酸値が高くなる原因は尿酸が過剰につくられやすい体質や、尿酸を排泄しにくい体質など、遺伝的要因が関与していると考えられています。
尿酸のもととなるプリン体は、臓器や体を動かすエネルギー源となるものです。
そのプリン体が分解されて老廃物となったものが尿酸です。
プリン体が多くなりすぎたり、尿酸が排泄しづらくなることで尿酸値が高くなります。
尿酸値が高い状態が続くと、結晶となった尿酸が関節などに蓄積して炎症を引き起こし、痛風発作の原因となります。
以下のようなことが痛風の引き金となることもあるため注意が必要です。
- アルコール(とくにビール)の飲み過ぎ
- 肥満
- プリン体の多い食品に偏った食生活
- 暴飲暴食
- 過剰なストレス
- 脱水
高尿酸血症の症状と合併症
尿酸値が高くなったとしても、わかりやすい症状はありません。
しかし、症状がないからといって尿酸値が高い状態で放置していると、激痛をともなう痛風をはじめとしたさまざまな合併症を引き起こす恐れがあります。
高尿酸血症の合併症は以下の通りです。
高尿酸血症は生活習慣病を合併しやすく、動脈硬化を進行させるリスクも高くなります。
動脈硬化が進行すると脳や心臓の血管に負担がかかり、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を発症する可能性もあります。
高尿酸血症の治療だけでなく、生活習慣病を合併しないよう食事の管理や運動を取り入れることも大切です。
高尿酸血症の治療
血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断され、血清尿酸値の目標値は6.0mg/dL以下とされています。
薬の治療を考慮するのは、尿酸値が9.0mg/dl以上を基本として、リスクが高い方は8.0mg/dl以上のケースになります。
高尿酸血症の治療は生活習慣の改善や薬物治療を行いますが、痛風発作がある場合は痛風の治療を優先します。
ここでは、高尿酸血症の改善や予防につながる食事療法や運動療法、薬物療法について解説していきましょう。
薬物治療
高尿酸血症の治療で主に使用するお薬は、痛風治療薬と尿酸治療薬です。
以下の図表のように治療薬を選択します。
痛風の治療は非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)で痛みを改善できますが、痛風発作が頻発したり、遷延性痛風発作がある場合はステロイドの使用が有効です。
非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)
- ナプロキセン(一般名:ナイキサン®錠)
- オキサプロジン(一般名:アルボ®錠)
- プラノプロフェン(一般名:ニフラン®錠)
尿酸値をコントロールするお薬は以下の2種類です。
尿酸産生抑制薬:体内で尿酸をつくりすぎないようにするお薬
- フェブリク(一般名:フェブキソスタット)
- ザイロリック(一般名:アロプリノール)
- トピロリック/ウリアデック(一般名:トピロキソスタット)
尿酸排泄促進薬:尿酸を排泄しやすいようにするお薬
- ユリノーム(一般名:ベンズブロマロン)
- ベネシッド(一般名:プロベネシド)
- パラミヂン(一般名:ブコローム)
- ユリス(一般名:ドチヌラド)
食事療法
尿酸のもととなるプリン体の摂取量は1日200mgとされており、近年では厳密なプリン体制限の必要はないと考えられています。
しかし、プリン体は体内に取り込んですぐに尿酸となり、排泄が困難となった場合は腎臓に負担がかかるため、まったく気にせず摂取してもいいというわけではありません。
プリン体の多い食品はほどほどにし、肥満やメタボリックシンドロームの予防としてバランスのいい食事を心がけることが大切です。
プリン体を多く含む食品が知りたいという方は、以下を参考にしてみてください。
また、尿酸が蓄積すると結石ができやすくなるので、尿をアルカリ性に傾ける野菜や海藻の摂取、十分な水分補給で尿量を増やすことも重要です。
ショ糖や果糖の過剰摂取も尿酸値の上昇や痛風のリスクも高まるので、甘いジュースではなく、お茶や水などで水分補給をするようにしましょう。
アルコールはプリン体の分解を促進して尿酸値を上げるので、お酒の種類にかかわらず大量に飲めば腎臓から尿酸が排泄しづらくなります。
プリン体の多いビールだけでなく、どんなお酒であっても節酒できるようにしましょう。
運動療法
激しい運動や無酸素運動は筋肉内でプリン体の分解を促進し、尿酸値を上げる恐れがあります。
そのため、運動を取り入れるときは軽めの有酸素運動がおすすめです。
運動は肥満予防としても有効なので、ウォーキングやジョギング、水泳など、継続できそうなものを無理なく行っていきましょう。
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